医学研究:SARS-CoV-2に対する免疫応答は病気の重症度に関連する
Nature Microbiology
2020年10月26日
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する免疫応答は、感染後3か月で減衰し、疾患の重症度に関連していることを示した報告がNature Microbiology に掲載される。今回の研究は、ウイルスに対する体の応答についての手掛かりであり、ワクチンの設計や疾患管理に大きな意味を持つだろう。
SARS-CoV-2の感染者では、このウイルスに対する免疫応答が起こるが、その持続期間は不明確で、その患者がどの程度の期間、感染から守られるかは分かっていない。今回、Katie Dooresたちは、ロンドンにあるガイズ&聖トーマス病院の患者59人と医療従事者37人を対象に、最初に症状が出てから3か月間の抗体応答を調べた。
急性ウイルス感染に典型的に見られるように、抗体応答は発症からおよそ1か月でピークを迎え、その後は減衰した。症状が重症だった人が抗体応答も最も強力で、この応答は減衰するものの、中和抗体は発症から60日以上たっても検出された。中等症以下の人でも免疫応答は見られたが、その応答は重症者よりも弱く、ベースラインのレベルにまで減衰していった。医療従事者の中には、同じ追跡観察期間内に免疫応答が検出されなかった人もいた。
この研究から、COVID-19が重症化した人は、症状の軽い人に比べると長い期間免疫防御が得られること、免疫応答の動態は他の季節性コロナウイルスと類似していることが分かった。著者たちは、ワクチンでは重症化患者の場合のようなロバストで長期間持続する免疫応答を引き起こす必要があり、ワクチンによる保護期間を長くするためにはブースターが必要かもしれないと述べている。
doi:10.1038/s41564-020-00813-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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