医用生体工学:大腿切断患者の歩行を改善するエクソスケルトン
Nature Medicine
2021年10月12日
股関節部を覆う自律型のパワードエクソスケルトンが大腿切断患者の歩行を改善するという臨床試験初期結果が、Nature Medicineに報告された。
大腿切断患者は数百万人に上るが、現在使用可能な義足は歩行のエネルギー効率が非常に悪く、そのため移動性が制限される。股関節部を覆う自律型パワードエクソスケルトンが歩行の代謝コスト(歩行に伴うエネルギー需要)を減少することは、大腿切断をしていない若年者で明らかにされていたが、大腿切断者が使用した場合については、まだ検証がなされていなかった。
今回T Lenziたちは、6人の大腿切断者(男性4人、女性2人、平均年齢33.8歳)で、股関節部を覆う自律型パワードエクソスケルトンの装着が、トレッドミル上を毎秒1メートルの速度で歩いた場合と、歩道を12メートル歩いた場合にどのような効果を及ぼすかを検証した。股関節部を覆うエクソスケルトンの使用は、標準的な義足を装着した場合と比較すると、歩行の代謝コストを平均して15.6%下げることが分かった。この改善は、大腿切断していない人が背負っていた重さ12キログラムのリュックサックを下ろしたのに匹敵する。このエクソスケルトンを装着した被験者は全員が、歩行状態に悪い影響を受けることなく、より長く歩けるようになった。
著者たちは、大腿切断のタイプやリハビリテーションの可能性が異なる個々の患者に合わせてエクソスケルトンを最適化し、その効果を評価するためには、さらなる臨床研究が必要だと指摘している。
doi:10.1038/s41591-021-01515-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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