電子工学:既存の銅線インフラが光ファイバーネットワークを補完して超高速ブロードバンドの実現に役立つかもしれない
Nature Communications
2022年4月27日
現在の銅線インフラが、超高速ブロードバンドに対応するかもしれないことを示唆した論文が、Nature Communications に掲載される。今回の知見は、データ通信の現在のソリューションに代わり得る低コストのソリューションが、特に光ファイバーによるブロードバンドを設置できない地域で実現する可能性のあることを意味している。
100%光ファイバーによるギガビットブロードバンドは、信頼性の高い高速インターネット接続を実現するソリューションであり、現在の銅線を光ファイバーケーブルに置き換える必要がある。しかし、歴史ある都市、大都市、地方の過疎地域などの多くの地域では、この置き換えは実現できないかもしれない。従って、将来のデータ通信には、複数の相補的技術が必要となる可能性がある。
今回、Ergin Dincたちは、ツイストペアケーブル(広く用いられている既存の銅芯ケーブル)の高周波数での挙動が、将来の通信ネットワークで求められる性能を満たすかを調べた。Dincたちは、このケーブルの性能の上限を理論的に研究した上で、必要な周波数で実験を行うのに役立つマイクロストリップバラン(平衡/不平衡モード変換器)という特別に設計したデバイスを採用した。その結果、現在の銅線インフラが1ギガヘルツ以下の帯域幅で動作するのに対して、ツイストペアケーブルは、5ギガヘルツの帯域幅に対応し得ることが明らかになった。Dincたちは、光ファイバーの敷設コストが現時点で過大な地域で現在の銅線インフラを使用すれば、光ファイバーネットワークに対応できるかもしれないという考えを示している。
ツイストペアケーブルが5ギガヘルツの帯域幅に対応できるのは短い距離に限られるが、Dincたちは、短いツイストペアケーブルを使用すれば、100%光ファイバーに基づく技術の実装に役立つかもしれないと強調している。
doi:10.1038/s41467-022-29631-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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