Research Press Release
静寂を保つ
Nature Immunology
2011年10月24日
免疫系のセンチネル細胞の重要な調節分子A20が失われると、それだけで十分な引き金となって、大腸炎と大腸炎合併性関節炎疾患が起こるとの報告が寄せられている。
NF-κBは炎症性メディエーターをコードする遺伝子をオンにするのに必要な転写因子だが、A20はこのNF-κBを活性化する複数の情報伝達経路をオフにすることによって、炎症を抑制する。A20をもたないマウスは出生前に死亡することから、A20が重要な役割を担っていることがわかる。Maたちは、A20を樹状細胞でだけ欠失させたマウスを作成した。樹状細胞は、感染や免疫化に応じて獲得免疫細胞を活性化する。非感染A20マウスでは活性化T細胞が増加し、顕性の自己炎症性疾患を自発的に発症するが、自己抗体も、抗体が誘発する免疫病変もほとんど見られない。
A20欠失マウスで観察される疾患スペクトラムは、大腸炎や、抗体とは無関係な他の関節炎疾患の患者に見られるものとよく似ている。クローン病患者のコホートでのゲノム解析でも同様に、ヒトA20遺伝子に病気と関連する点突然変異が見つかった。これらのデータは、A20の発現の変化が自己炎症性疾患の素因となる可能性を示唆している。
doi:10.1038/ni.2135
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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