Research Press Release
光吸収体の性能改善
Nature Communications
2011年11月2日
このほど、プラズモニック・ナノ構造体を用いた広帯域光吸収体が作製された。この構造体は、ソーラーパネルで幅広く用いられている太陽電池の性能向上に役立つことが期待される。
可視スペクトル全域にわたって高い光吸収能を有する材料を開発することは、太陽電池など数多くの光学デバイスにとって重要だ。ところが、プラズモニクスを用いる既存の方法は、狭い周波数領域と特定の光の偏光でしか働かない。今回K Aydinたちは、こうした問題点を克服するため、金属-絶縁体-金属スタックを作製し、その最上層に、幅がわずか数十ナノメートルの台形に成形された極薄金属を格子状に配置した。この光吸収体により、可視領域全体にわたって平均70%の吸収率が達成された。こうした高い吸収率は、入射光の偏光とは無関係で、広範囲の入射角において得られた。
この金属-絶縁体-金属スタックは、厚さがわずか260ナノメートルであるため、太陽電池の集光性能を高め、熱放射体や熱吸収体の性能を向上させる可能性を秘めており、今後、注目を集めることが予想される。
doi:10.1038/ncomms1528
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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