天文学:地球の上部電離層でガンマ線バーストが検出された
Nature Communications
2023年11月15日
非常に明るく継続時間の長いガンマ線バースト(GRB)であるGRB 221009Aが、地球の上空500キロメートル付近の上部電離層の電場に大きな変動をもたらした可能性があることを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。著者らは、GRB 221009Aが地球の大気中で検出されたガンマ線バーストの中で最も強力なものの1つである可能性を指摘している。
地球大気のイオン化安定性は、生命の進化と存続にとって非常に重要な役割を果たしており、宇宙での爆発現象によって発生する高エネルギーガンマ線バーストの影響にさらされている。高エネルギーガンマ線バーストは、電離層の擾乱を引き起こす可能性がある。これは、爆発現象によって放出された高エネルギー粒子によって電離層で異常なイオン化が起こるためだ。地球の下部電離層に対するガンマ線バーストの影響は知られているが、これまでの観測では上部電離層に対するガンマ線バーストの影響は検出されていない。また、これまでの研究で、GRB 221009Aが下部電離層で電離層摂動を引き起こすが、上部電離層では引き起こさないことが示されていた。
今回、Mirko Piersantiらは、人工衛星や地上の観測地点で取得した電離層データを解析した。その結果、2022年10月9日に継続時間の長い激しい電離層摂動が上部電離層の電場の大きな変動を引き起こし、その両方がGRB 221009Aと相関していたことを示す証拠が見つかった。GRB 221009Aの持続時間は約7分だったが、最初の検出から10時間以上にわたって検出できた。
doi:10.1038/s41467-023-42551-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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