気候変動:森林火災の規模が地表の温暖化を促進するかもしれない
Nature
2024年9月26日
森林火災の頻度と燃焼の重症度が増加していることで、地表の温暖化が加速している可能性があるという、10年以上にわたる衛星データの分析を報告する論文が、Natureに掲載される。この調査結果は、将来の気候と火災の動態に影響を与えるかもしれないという、これまで見過ごされていた要因を明らかにしている。
森林火災はより頻繁に、より大規模になっており、米国西部やスペイン東部などの一部の地域では、ここ数十年で火災の規模が2倍から3倍に拡大している。より規模の大きな森林火災は通常、より大きな植生の損失につながるが、この露出した土地の増加が気候に及ぼす影響についてはまだ解明されていない。
Chao Yueらは、北半球の温帯および北方林(北緯40度-北緯70度)における2003年から2016年の森林火災の衛星データを分析した。著者らは、火災発生の1年後に広範囲にわたる温暖化効果が見られることを発見した。これは過去の研究と一致するが、数学モデルにより、火災の規模が北米と東アジアの地表温暖化を増幅させることを計算した。分析により、火災発生の1年後に蒸発散量と地表反射率が減少することが明らかになった。これは、より大きな火災の後により大きく減少し、地表が温暖化しているのは、これまでの年よりも水分の放出が少なく、入射放射の吸収量が多いことを意味する。一方、混交林および落葉広葉樹林が混在する西部、中央部、東南部シベリアおよび東ヨーロッパでは、地表温暖化の増幅効果は観察されなかった。
著者らは、これらの樹木が火災の被害を軽減する可能性があること、また、今後の火災軽減戦略として、火災後の地表温暖化を弱めるために、森林内の広葉樹の数を増やすことが考えられると指摘している。しかし、広葉樹がユーラシアの森林における地表温暖化の抑制にどのように役立つかを評価するには、さらなる研究が必要である。
Zhao, J., Yue, C., Wang, J. et al. Forest fire size amplifies postfire land surface warming. Nature 633, 828–834 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07918-8
doi:10.1038/s41586-024-07918-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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