Research Press Release

健康:在宅での脳刺激によるうつ病の治療

Nature Medicine

2024年10月22日

大規模な第Ⅱ相ランダム化比較試験の結果によると、在宅での脳刺激療法が大うつ病性障害患者の症状を改善したことを報告する論文が、Nature Medicineに掲載される。この発見は、患者が定期的に医療クリニックに通う必要なく、在宅での治療から恩恵を受けられるかもしれないことを示唆している。

大うつ病性障害は、世界的に障害の主な原因となっており、自殺による死亡の最も重要な前兆である。現在、第一選択の治療法としては、抗うつ薬や心理療法が挙げられるが、大うつ病性障害(MDD:major depressive disorder)患者の3分の1以上は、依然として完全な臨床的寛解にいたっていない。経頭蓋直流電気刺激法(tDCS:transcranial direct current stimulation)は、額に装着した頭皮電極を介して微弱な直流電流を流す非侵襲的な脳刺激の一種であり、大うつ病性障害の新しい治療法として注目されている。tDCS治療は通常、数週間にわたって研究クリニックで毎日セッションを受ける。

Cynthia Fuらは、ビデオ会議によるリアルタイムでの遠隔監視により、家庭でtDCSを適用できるプロトコルを開発した。英国と米国で実施された臨床試験では、大うつ病性障害患者174名を対象に、10週間の在宅tDCS治療の臨床的有効性と安全性を検証した。tDCS治療は、対照治療と比較して、うつ症状、臨床反応、および寛解率を顕著に改善することが分かった。この装置に関連する深刻な有害事象は報告されていない。

継続的な安全性のモニタリングは必要であるが、この結果は、在宅での tDCS が大うつ病性障害患者に対する第一選択の治療法となる可能性を示唆している。

Woodham, R.D., Selvaraj, S., Lajmi, N. et al. Home-based transcranial direct current stimulation treatment for major depressive disorder: a fully remote phase 2 randomized sham-controlled trial. Nat Med (2024). https://doi.org/10.1038/s41591-024-03305-y
 

doi:10.1038/s41591-024-03305-y

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