古生物学:鳥類の脳の進化
Nature
2024年11月14日
今から8,000万年前に現在のブラジルに生息していた、保存状態の良い新種の鳥類化石が、鳥類の頭蓋骨と脳の進化について新たな知見をもたらす。この標本は、鳥類の系統樹上で始祖鳥(Archaeopteryx;最も初期の鳥類の1種)と現生鳥類の中間に位置し、現生鳥類と古代の鳥類の特徴を併せ持っている。この発見は、今週発行のNature に掲載される。
現生鳥類は、新鳥亜綱(Neornithes)と呼ばれるクレードに属するが、恐竜の時代にはもう一つのクレードが存在していた。エナンティオルニス類(enantiornithines)は、現生鳥類の適応放散と並行する初期の鳥類の非常に多様なグループであり、白亜紀の終わりに絶滅した。エナンティオルニス類の完全な頭蓋骨が保存された化石はほとんど発見されておらず、鳥類神経解剖学の進化に関する理解には大きなギャップが残されていた。
ブラジル後期白亜紀(約8,000万年前)のNavaornis hestiaeと呼ばれるムクドリほどの大きさのエナンティオルニス類の完全かつ歪みのない頭蓋骨が、Luis ChiappeとGuillermo Navalónらによって報告された。頭蓋骨は骨格と結合しており、保存状態が非常に良いため、脳の復元が可能であり、始祖鳥に見られる古代の特徴と現代の特徴の組み合わせが明らかになった。原始的な脳の特徴としては、小さな小脳(運動と平衡感覚に関与する脳の一部)および、若干拡張された大脳(または終脳、脳の最も大きな部分で、高次認知を司る)が含まれる。また、現生鳥類との類似点としては、歯がないこと、大きな目、および背が高く、球形の頭蓋骨があげられる。この発見により、鳥類の神経解剖学的特徴がどのように進化してきたのか、その時期と順序が明らかになる、と著者らは結論づけている。
Chiappe, L.M., Navalón, G., Martinelli, A.G. et al. Cretaceous bird from Brazil informs the evolution of the avian skull and brain. Nature 635, 376–381 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08114-4
doi:10.1038/s41586-024-08114-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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