惑星科学:冥王星が「キス」の後に衛星カロンを捕獲
Nature Geoscience
2025年1月7日
モデリング研究によって、冥王星は、一瞬の「キス・アンド・キャプチャー(kiss-and-capture)」衝突の後、その衛星であるカロン(Charon)を捕獲した可能性を報告する論文が、Nature Geoscience に掲載される。この衝突では、両天体はほぼ無傷で生き残った。この発見は、カロンは冥王星と同じくらい古い可能性があることを示唆している。
カロンは、冥王星の半径の約半分という大きさで、衛星としては異常に大きく、その軌道は衝突によって誕生したことを示唆している。しかし、地球の月が形成されたシナリオのように、衝突の残骸から、カロンほどの大きさで、カロンと同じく円軌道(冥王星の半径の約16倍)を持つ天体が形成されたと説明するのは難しい。むしろ、カロンは冥王星との遭遇によって何らかの形で捕獲されたのではないかという説が提案されているが、そのようなシナリオが妥当であるかどうかは依然として不明である。
C. Adeene Dentonらは、岩石と氷で構成される惑星の地質学的に現実的な強度を組み込んだ数値モデルを使用し、衝突がどのようにしてカロンを捕獲する結果につながるのかを調査した。著者らは、冥王星とカロンの物質強度をモデルに組み込んだところ、2つの天体が衝突し、当初は一緒に回転した後も、2つの天体はほぼそのままの状態で別個に存在し続けたことを発見した。その後、冥王星とカロンは、回転する際に天体に作用する外向きの力によって分離し、カロンは軌道を外側へと広げ、徐々に現在の位置へと移動した。研究者らは、この衝突シナリオを「キス・アンド・キャプチャー」と呼んでいる。
著者らは、モデルと比較できる観測が限られているにもかかわらず、このようなキス・アンド・キャプチャー起源は、冥王星とカロンの地質学的進化に影響を及ぼす可能性があると示唆している。カロンは、冥王星と同じくらい古い可能性があり、衝突とそれに続く分離、そして強い潮汐力による進化によって引き起こされた地質活動により、両天体は広範囲にわたって地表が作り変えられた。さらに、キス・アンド・キャプチャー衝突は、海王星の軌道を越えた位置にある他の巨大な氷天体の起源も説明できる可能性があると著者らは示唆している。
- Article
- Published: 06 January 2025
Denton, C.A., Asphaug, E., Emsenhuber, A. et al. Capture of an ancient Charon around Pluto. Nat. Geosci. (2025). https://doi.org/10.1038/s41561-024-01612-0
doi:10.1038/s41561-024-01612-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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