Research Press Release
有糸分裂分子
Nature Chemical Biology
2011年12月26日
外観および挙動が天然物によく似た分子を合理的に合成する方法が、Nature Chemical Biologyで発表される。その分子が細胞内で有糸分裂を操作する能力は、通常の細胞機能およびがんの発生を解明しようとする研究に有用である。特定の人工分子群を作製するための構造的ヒントとして、K Kumar、H Waldmannたちは、インドールアルカロイドという種類の天然物を利用した。研究チームは、単一の容器の中で12段階の反応を起こさせる合成法を考案し、分子内の6か所がさまざまに変化したきわめて複雑な多環式化合物を得た。 26種類の分子を手にした研究チームは、その分子群が細胞に対して何らかの作用を及ぼすかどうかを確認する試験を行った。その人工化合物群が模倣することをめざしたインドールアルカロイドと同様に、新しい構造物はたしかに有糸分裂に影響を与えた。今回の化合物群が狙ったのは、ヌクレオホスミンおよびCrm1という2つの中心体タンパク質であった。ヌクレオホスミンは、特別な役割がはっきりと解明されてはいないものの、がんの成立に関与しており、この化合物群は、正常細胞および疾患細胞でこのタンパク質が遂行する機能に関して貴重な洞察をもたらす可能性がある。
doi:10.1038/nchembio.758
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:大きな鳥は必ずしも鳥頭というわけではないScientific Reports
-
コンピューターサイエンス:AIツールが創造的なビデオゲーム開発を支援Nature
-
生態学:深海の生態系を調査するNature Communications
-
がん:CAR-T療法を受けた患者に長期寛解Nature Medicine
-
素粒子物理学:最高エネルギーのニュートリノが話題を呼ぶNature
-
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature