Research Press Release
脳卒中に関連する遺伝的多型
Nature Genetics
2012年2月6日
脳卒中の感受性に関連する遺伝的多型について報告する論文が、今週、Nature Genetics(電子版)に掲載される。脳卒中は、成人の慢性障害の主要な原因、そして、成人の主たる死亡原因となっており、深刻化する世界的な公衆衛生上の問題の一つだ。全世界の脳卒中症例の約80%が血液供給の中断を原因とする虚血性脳卒中で、その最も一般的なサブタイプが、大血管脳卒中、心原性脳卒中と小血管脳卒中の3つである。今回、Hugh Markusたちは、ヨーロッパ系の虚血性脳卒中患者3,548人と対照群(5,972人)を対象に、虚血性脳卒中の感受性についてのゲノムワイド関連解析を行った。これらの患者は、臨床的評価と脳と血管の画像診断によって脳卒中のサブタイプ別に分類された。その結果、Markusたちは、大血管脳卒中に関連するゲノム領域を新たに同定した。このゲノム領域内にある、ヒストンデアセチラーゼというタンパク質をコードするHDAC9遺伝子内の多型と大血管脳卒中との関連が認められたのだ。また、Markusたちは、これまでに虚血性脳卒中に関連する座位として報告された3つの座位も再現した。そして、これら4つの関連のすべてが虚血性脳卒中のサブタイプ間で不均一であることが判明した。このことは、こうした脳卒中サブタイプにかかりやすくなるメカニズムが、サブタイプごとに異なることを示唆している。
doi:10.1038/ng.1081
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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