Research Press Release
大ヒマラヤ山脈地域では氷河融解は起きていない
Nature Geoscience
2012年4月16日
中国、インド、パキスタンの境界に位置するカラコルム山脈における氷河は、全球では山岳氷河の質量損失があるにもかかわらず安定している。今週号のNatureGeoscience onlineに発表された研究は、この特別な山脈地域の氷河の異常な振る舞いは、隣り合ったヒマラヤ地域では氷の大量の損失が検出されているので、氷河ごとの局所的な違いを強調していると報告している。
Julie Gardelleらは2000年と2008年に得られた二つの数値高度地図の違いを計算した。彼らはカラコルム山脈の約4分の1の地域を評価し、この期間で氷河は少量の質量増加を示していることを見つけた。カラコルム氷河の異常な振る舞いが疑われたが、この地域には簡単には近づけないために現地での観測で確認はできなかった。
関連するNews and Viewsの記事でGraham Cogleyは、もしこの研究で報告されている質量平衡の測定がカラコルム氷河のすべてを代表しているものならば、この地域の氷河損失は過去10年間の海水準変動に対してこれまで見積もられた値よりもその寄与は少ないと示唆している。
doi:10.1038/ngeo1450
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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