アルツハイマー病には糖の保存
Nature Chemical Biology
2012年2月27日
酵素の阻害剤を使用してタウタンパク質の糖を維持することが、アルツハイマー病治療の新しい選択肢となる可能性があること示す最新の研究成果が、今週の『Nature Chemical Biology』で発表される。これによってこの研究は、アルツハイマー病の一側面の内実に関する洞察をもたらし、新たな治療機会を提供する。 アルツハイマー病は、記憶の喪失および精神の錯乱を特徴とする疾患である。細胞レベルでは、タウタンパク質の蓄積による神経原線維変化が典型的な特徴の1つである。この疾患の治療法を追求する科学者の多くは、その原線維と直接的に相互作用し、それを分解したりその形成を遅延させたりする分子の発見に心血を注いでいる。しかし、何がその形成を支配しているのかは依然として明らかにされておらず、そうした上流の支配要因が特定されれば、早期に介入して疾患の発現を遅延させたり予防したりすることが可能になると考えられる。 David Vocadloたちは、アルツハイマー病を発現する素因を与えた遺伝子組み換えマウスに酵素O-GlcNAcアーゼの阻害剤であるThiamet-Gを投与すると、疾患に関連する凝集体の形成が遅延し、神経細胞の喪失が縮小することを明らかにした。特にこの阻害剤は、その酵素がタウタンパク質から糖を除去するのを阻害する。in vitroの分析では、この糖が原線維形成の遅延に直接寄与していることが確認されている。
doi:10.1038/nchembio.797
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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