Research Press Release
プリオンの感染性を迅速かつ確実に測定する方法
Nature Communications
2012年3月14日
プリオンの感染性を測定する方法の比較研究が行われ、時間のかかる従来の技術を代替しうる、効率的で費用効果の高い方法が明らかになった。2つの広く知られたプリオン感染性測定技術を1対1で比較した研究は今回が初めてだ。その詳細を報告する論文は、Nature Communicationsに掲載される。 プリオンは、ヒツジのスクレイピーやヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病と呼ばれることもある)を引き起こす感染性病原体だ。プリオンの感染性を推定するための従来の方法では、さまざまな濃度のプリオンタンパク質の希釈溶液を動物に注射する。この方法の大きな欠点は、動物の発病を確認するまでに最長数年間待たなければならないことだ。これに対して、もう一つの広く用いられているprotein misfolding cyclic amplification with beads(PCMAb)という方法では、数日で結果が得られる。今回、I Baskakovたちは、改良型のPCMAbと従来の方法を比較した。この比較の結果、PCMAbの方が迅速かつ高精度で、従来技術で検出不可能だった感染性の低い試料についても感染性を検出できることが判明した。 また、Baskakovたちは、PCMAbが実験動物を使わないため、倫理性の点でも従来の方法より優れていることも指摘している。
doi:10.1038/ncomms1730
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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