Research Press Release
弱毒化ワクチンのウイルス不活化に過酸化物を利用
Nature Medicine
2012年5月28日
過酸化水素を利用してウイルス株を弱毒化する、ワクチン生産の新しい技術基盤の報告が寄せられている。
ウイルスの毒性を低下させて生きたまま使う弱毒化生ワクチンは、生産しやすく、広く使われている。この種のワクチンの大きな問題点の1つが、現在の弱毒化手法では体の中和抗体応答が弱まってしまうことで、その原因は、本来なら免疫応答の引き金となるはずのウイルスタンパク質を破壊してしまうからである。
Mark Slifkaたちは、過酸化水素処理ならば、この問題が回避できることを明らかにした。この処理法を使ったところ、2種類の致死性ウイルスに対するワクチンを接種したマウスでは抗体を介した防御免疫が、慢性ウイルス感染に対するワクチン接種したマウスでは細胞性防御免疫が誘導された。
ヒトでも細胞性免疫が誘導できるかどうか、またそれが組換え生ワクチンによって誘導される免疫と同等かどうかは、まだ明らかになっていない。
doi:10.1038/nm.2763
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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