Research Press Release
心の目
Nature Neuroscience
2012年6月4日
ヒト脳の側頭頭頂接続(temporoparietal junction; TPJ)における活動は、視覚の特性を示す可能性が、今週のNature Neuroscience電子版に報告されている。この結果は、TPJにみられる信号が意識的認識を支えていることを示唆している。
これまでの研究では、TPJが目立つ刺激や予期せぬ刺激の検出に重要であると示されており、この領域の損傷は空間無視や注意制御の欠陥につながりかねないとされている。
Michael Beauchampほかの研究者は、てんかんの外科処置のため脳に電極を埋め込んだ患者について調べた。患者の脳のうち初期視覚系のある領域に、場合によっては閃光を感じさせるかさせないか程度の弱い電気刺激を加えた。その結果、TPJにも同時に応答があった場合にのみ患者は光を感じると申告していることをBeauchampらは発見した。見えにくい対象の検出能力がTPJの信号を乱すと減少することもわかり、この脳領域と視覚とのさらなるつながりが示唆される。
doi:10.1038/nn.3131
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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