Research Press Release

【画像化】原子の影

Nature Communications

2012年7月4日

単一原子の吸収イメージングが行われ、このイメージング装置で最高レベルの画像コントラストが得られ、画像収集時間も短縮された。これにより、単一原子や細胞内の分子過程の吸収イメージングを高速化することへの期待が生まれている。研究成果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。

原子とイオンは、量子力学によって規定される特定の波長の光を吸収する。また、特定の原子構造の光吸収率の最大値も量子力学によって決まっている。今回、D Kielpinksiたちは、イッテルビウム元素の単一イオンを捕捉して、原子吸収遷移に共鳴する光を照射した。そして、電荷結合素子カメラ(CCDカメラ)を用いて、検出器に残った光を記録し、その結果、イオンの影が記録された。この吸収画像コントラストは、この実験装置の限界値に達しており、原子遷移を説明するために用いられる半古典論による予測とも整合している。

今回行われた実験は、原子物理学についての我々の理解を確認するうえで役立ち、量子計算にとっても有用と考えられる。

doi:10.1038/ncomms1944

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度