【行動】公平さを渇望するのはヒト特有のことなのか
Scientific Reports
2012年8月24日
水をめぐる交渉ゲームにおいて不公平な提案を受けた参加者は、たとえ実験的に喉の渇きが生じている状況下においても、その提案を断る傾向を示すことが明らかになった。この結果は、ヒトが、一次報酬を目的とした交渉を行っているときに自らが公平に扱われることを大事に思っており、そのような互恵的利他主義がヒトにおいて特に顕著である可能性を示唆している。この研究結果を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
金銭をめぐる交渉において、ヒトは、たとえ何らかの負担をすることになっても、不公平な提案を拒否する傾向があるが、食料のような一次報酬をめぐる交渉を行うチンパンジーには、このような行動は見られない。こうした互恵的公平性は、主としてヒトの動機づけなのか、そして、ヒトは、食料や水などの一次報酬に関する不公平な提案も断るのかどうかという点は明らかになっていなかった。今回、N Wrightたちは、21人の参加者に生理食塩水を静脈注射して、中程度あるいは重度の喉の渇きを誘発する方法を用いて、最後通牒ゲームで一次報酬(この場合は水)をめぐる交渉を行う参加者の応答が、この一次報酬に対する欲望を誘発した状況下でどのように変化するのかを調べた。その結果、参加者は、喉がひどく渇いている場合でも、水に関する不公平な提案を拒絶する傾向を示した。
また、今回の実験データからは、ヒトが、自らの主観的な自己利益(本人にとっての一次報酬の価値)のために、この公平性の動機づけをあきらめる場合のあることを示す暫定的な証拠も得られた。
doi:10.1038/srep00593
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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