Research Press Release

腸管免疫が肥満に影響する

Nature Immunology

2012年8月27日

マウスに高脂肪食を与えている場合に、腸管免疫が肥満の発症を決定づけることが明らかになった。この知見から考えて、ヒトでも同様に、プロバイオティクスや抗生物質、ワクチン接種によって腸内微生物叢を変化させると、肥満しやすい傾向を改善できる可能性がある。

「あなたが食べた物があなた自身をつくる」というお馴染みの格言は、必ずしも正しくないかもしれない。Yang-Xin Fuたちは、宿主の免疫系が、食事の変化に対する応答に積極的にかかわっていることを示した。高脂肪食を与えた正常マウスは予想通り肥満になったが、腸の免疫細胞の組織化と生存にかかわる分子であるリンホトキシンをもたないマウスは、高脂肪食を与えてもやせたままだった。

著者たちによれば、腸の免疫細胞は摂取した食物の違いに反応して、抗微生物因子を放出し、これが腸内に生息する微生物群を変化させるという。ある種の細菌はこのような免疫応答に出会っても生き残り、その数が多くなることが体重増加に結びつくらしい。つまり、体重増加を決定づけるのは、食事と免疫細胞、腸内微生物との複雑な相互作用であると著者たちは考えている。

doi:10.1038/ni.2403

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度