Research Press Release
【学習】ニワトリの学習行動に甲状腺ホルモンが果たす役割
Nature Communications
2012年9月26日
ニワトリのヒナは、「親からの刷り込み」の臨界期(感受性期)において、親から行動的特徴を学習するが、この感受性期とその後の学習が甲状腺ホルモンによって決まることが明らかになった。甲状腺ホルモンは、多様な機能をもつことがわかっているが、今回の研究で、その解明がさらに進んだ。研究結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
鳥類の学習は、孵化直後の感受性期に起こる。親からの刷り込みは、母親の世話による幼鳥の生存に役立ち、母親がいない場合には、さまざまな動く物体が、母親の代わりに刷り込みの対象となり得る。今回、本間光一(ほんま・こういち)たちは、コンピューター制御のベルト装置によって動くプラスチック製の積み木を孵化したばかりのヒナに見せた。このベルト装置は、ヒナ自体の動きで作動するようになっていた。そして、本間たちは、この感受性期に起こる分子事象を調べた。その結果、刷り込みの原因が、親からの刷り込みに関与すると考えられる脳領域への甲状腺ホルモンの急速な流入であり、この甲状腺ホルモンの流れが、感受性期を長期化させることがわかった。
本間たちは、甲状腺ホルモンが、感受性期の始期を決定するうえで重要なだけでなく、発達の後期段階で起こる学習過程の基礎を築くという結論を示している。
doi:10.1038/ncomms2088
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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