Research Press Release
ダイヤモンドキュービットの測定によるエンタングルメント
Nature Physics
2012年10月15日
ダイヤモンド中の核スピンのエンタングルメントが、今週のNature Physicsオンライン版で報告されている。この知見は、室温で動作する固体量子コンピューターなどの量子技術に向けての技術的に重要な一歩となる。
エンタングルメントは量子技術に不可欠なリソースである。2つの量子系をエンタングルするには、その2つの系が相互作用していなければならない。しかし、量子状態はとても壊れやすく、環境から十分に分離される必要があり、理想的には外部との相互作用を持たないことが望ましい。その代わりに、結合特性を測定して、直接相互作用していない2つの量子系をエンタングルさせることもできる。エンタングルメントを生み出すためのこの見た目には単純なアイデアは、固体系で実行するのは難しいことがこれまでに示されていた。
窒素空孔中心は、ダイヤモンド格子内に自然にあるいは人工的に作られる欠陥であり、この窒素空孔中心を使って、室温で情報を量子自由度(電子スピンと核スピン)にエンコードし、情報処理のために操作できる。R Hansonたちは、電子スピンの測定を用いて、窒素空孔中心内の2つの核スピンをエンタングルさせた。この結果は、量子コンピューターの構築においてブレークスルーとなる可能性がある。
doi:10.1038/nphys2444
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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