Research Press Release
分子のパ・ド・ドゥが炎症を制御する
Nature Immunology
2013年4月1日
敗血症などの病気に関連することの多い炎症応答を、免疫細胞が制御する分子機構が明らかになった。
Rama Mallampalliたちは、ある種の免疫細胞の内部にはFbxl12と呼ばれる分子が存在し、これが細胞の炎症メディエーター生産能力を強力に阻害することを発見した。しかし、細胞が微生物の産物に出会ったときには、Fbxo3と呼ばれる別の分子がFbxl2に結合し、これを分解するため、細胞の活性化が起こるようになる。Mallampalliたちはさらに研究を進めてFbxo3を阻害する薬剤を合成したところ、Fbxl2レベルは高いまま維持され、細胞は不活性な状態に保たれた。さまざまな炎症性疾患のマウスモデルで、この薬剤が有効であることが明らかになった。ヒトの敗血症には、Fbxl2とFbxo3のレベルや機能の変化が関連していることがわかり、またヒトFbxo3に自然に生じた変異によって、免疫細胞の炎症応答が弱まることもわかった。
この研究により、ヒトとマウスの炎症を調節する重要な経路が明らかになり、どのようにすればこれらが治療の標的にできるか、分子レベルでの有用な手がかりが得られた。
doi:10.1038/ni.2565
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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