Research Press Release
コンビナトリアル法で培養基質を探す
Nature Materials
2010年8月23日
動物成分などの添加物を用いなくても、ヒト幹細胞を単一解離細胞からクローン増殖できることが、Nature Materials(電子版)に報告される。この迅速かつ量的な方法によって、臨床的に重要な単細胞のクローン培養物が容易に得られるようになるかもしれない。また、それらの遺伝子操作への応用やさまざまな治療目的での利用という可能性が開かれる。
D Andersonらは、何百もの高分子基質を分析して、基質表面の化学的性質と幹細胞応答の間の構造機能相関を見いだす高スループット・コンビナトリアル・アレイ法について報告している。Andersonらは、完全に解離した単一ヒト多能性幹細胞(すなわち、あらゆる細胞型に分化する能力をもつ細胞)のクローン増殖に使用できる培養基質を発見し、フィーダー細胞や動物成分のない環境で多能性幹細胞を誘導した。このような添加成分を使用しないため、免疫拒絶問題のリスクが軽減されるかもしれない。
doi:10.1038/nmat2812
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
ゲノミクス:タンパク質は古代のエナメル質に保存されているNature
-
惑星科学:太陽系最大の衝突から得られた知見Nature
-
気候変動:クジラの糞が温暖化に関連する有毒藻類ブルームの大発生を記録するNature
-
環境:大西洋全域で高濃度のナノプラスチック粒子が検出されるNature
-
がん:1,100万人を超えると予測される胃がんの原因は細菌かもしれないNature Medicine
-
ゲノミクス:古代DNAがエジプト人の祖先の謎を解明するNature