Research Press Release
神経膠腫の自己蛍光:がん幹細胞を単離するもう1つの方法
Nature Methods
2010年2月22日
マーカーを用いずにがん開始細胞を分離する方法が、Nature Methods(電子版)に報告される。
がん幹細胞の性質を巡っては議論があるが、腫瘍内部の細胞がすべて一様なわけではなく、新たな腫瘍を生じさせる能力が一部の細胞で高くなっていることについては、一般的に受け入れられている。原発腫瘍の中からそうした腫瘍開始細胞を同定して単離する方法には、基礎研究と応用研究の両面で意義がある。
I Radovanovicたちは、新しい方法を用いて、ヒト神経膠腫からがん開始細胞を分離した。それを目的とする標準的な方法では、目的の細胞で発現するタンパク質マーカーが利用されているが、現在利用可能な最高のマーカーは、特異性が不十分である。この研究チームは、細胞がもともと有している自己蛍光および細胞の形状に基づいて、ヒトの腫瘍から神経膠腫開始細胞が繰り返し分離されることを示した。
その細胞の自己蛍光の分子基盤は研究が進められているところであるが、この方法は、神経膠腫開始細胞を分離および研究するための標準的な方法を補うものになると考えられる。この方法がほかのがん幹細胞集団にも応用可能であるのかどうかは、今後の研究で明らかにされよう。
doi:10.1038/nmeth.1430
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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