Research Press Release

新しいインフルエンザの標的

Nature Biotechnology

2010年5月31日

A型インフルエンザウイルスを殺すための新しい標的が見つかった。この新しい標的(核タンパク質とよばれるウイルスタンパク質)とこれを阻害する薬剤の発見が、インフルエンザ感染の新しい治療法の開発に結びつくかもしれない。

A型インフルエンザウイルスは新しい系統が次々に出現し、その中には現在使われている薬に耐性を示すものがある可能性があるため、ウイルスに対抗する新しい薬や戦略を開発し続ける必要がある。R Y Kaoたちは膨大な数の小型分子をスクリーニングして、nucleozin(ヌクレオジン)とよばれる分子が、培養細胞とマウス両方においてA型インフルエンザウイルスの複製を抑えることを発見した。ヌクレオジンはウイルスの核タンパク質を標的とする。A型インフルエンザウイルスのゲノムにコードされるタンパク質はわずか11個だけなので、この核タンパク質が新薬の標的になりうることがわかって、新薬開発の選択肢が増えたことになる。著者たちは、同様なスクリーニングによって、ほかにももっと標的が発見できそうだと考えている。

doi:10.1038/nbt.1638

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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