Research Press Release
脳内の酸素地図を作る
Nature Methods
2010年8月9日
生きたげっ歯類の脳の酸素レベルを非侵襲的に測定する方法が、Nature Methods(電子版)に発表される。この方法により、健康状態を問わず、生きた脳の血管調節および代謝機能を掘り下げる研究が可能になると考えられる。
脳は代謝レベルを高く保っているが、それは大量の酸素を消費することによって維持されている。脳の機能には適切な酸素供給が極めて重要であるため、脳の各部に向けた酸素供給の研究には強い関心が寄せられている。脳内の酸素レベルをマッピングする既存の方法には、侵襲的で脳に損傷を与えかねないものと、空間分解能が不十分なものしかない。
二光子励起式のリン光プローブを血管系への注入または脳への直接注射で導入することにより、D Boasたちは、げっ歯類の脳組織の深部まで酸素をマッピングした。このプローブのリン光は酸素で消滅するため、シグナルの寿命を利用して酸素レベルを読み取ることができる。研究チームはこれを利用し、生きたげっ歯類の脳の血管および組織の双方を対象として、複数部位の酸素レベルを、数百マイクロメートルの深度で顕微鏡の分解能でマッピングした。実験では、一過性の低酸素症が脳の酸素レベルに与える影響が調べられた。
doi:10.1038/nmeth.1490
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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