Research Press Release
【神経科学】脳損傷に対する保護作用が高まったアストログリア
Nature Communications
2013年7月24日
このほど行われたラットの研究で、ある特定の脳損傷に対する保護作用が高くなった脳細胞のサブタイプが生成された。今回の研究は、中枢神経系の損傷に対する細胞治療の開発に寄与する可能性がある。
アストログリアは、中枢神経系の最も一般的な細胞で、ニューロンの発生とその機能を支援し、脳機能維持を支える役割を果たしている。今回、Wengbin Dengたちは、転写因子Olig2のマーカーを有するヒト胚性幹細胞からアストログリアを作製した。Olig2は、脳細胞の発生に関与していることが知られている。そして、Dengたちは、Olig2を発現するアストログリアの部分集団を脳虚血(脳卒中の際に見られる血液供給の中断に似た症状)を起こしたラットの脳に移植し、Olig2陰性のアストログリアを移植した場合よりも脳損傷に対するニューロン保護作用が高いことを見いだした。Olig2陽性のアストログリアを移植されたラットは、学習・記憶課題の成績も優れていた。
今回の研究では、細胞治療に利用できる可能性のある細胞集団のさまざまな特性を調べることの重要性が浮き彫りになった。
doi:10.1038/ncomms3196
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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