Research Press Release

特定の種類の細胞を狙う

Nature Methods

2010年10月11日

ヒトおよびマウスのさまざまな種類の細胞に特異的に遺伝子を送達するために作られたウイルスベクターが、Nature Methods(電子版)で発表される研究論文で紹介される。この技術は、生きている動物の狙った細胞への特異的な遺伝子導入を可能にするものである。

細胞の遺伝的改変は、レンチウイルスなどのウイルスベクターによって行われることが多い。こうしたウイルスは、細胞が分裂しているかどうかを問わず、目的の遺伝子を染色体に安定的に組み込む。最新のレンチウイルスベクターは、マウス、ラット、およびヒトのあらゆる種類の細胞への非選択的な侵入を媒介する特別なタンパク質を備えている。しかし、特定の種類の細胞への送達が望まれる場合はきわめて多く、ウイルスは特定の細胞だけに選択的に侵入するように組み換えることができる。

C Buchholzたちは、標的とする細胞がもつ特異的な表面タンパク質のみを認識する抗体でレンチウイルス表面のタンパク質を修飾することにより、そうした細胞特異的なレンチウイルスベクターを作製した。作製された組み換えレンチウイルスは、ヒトの内皮細胞(血管の内壁を覆う細胞)、ヒトの血球の前駆細胞、および脳の生理に重要な特定のグルタミン酸受容体を発現するマウスのニューロンに、特異的に侵入した。

doi:10.1038/nmeth.1514

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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