Research Press Release
原子の再配列によるナノスケールスイッチ
Nature Nanotechnology
2013年9月2日
原子の再配列によるコンダクタンススイッチング機構を利用した高信頼性・耐疲労性2端子原子スイッチが、今週オンライン版に報告されている。こうしたスイッチ は、ナノスケール版トランジスターといえる。
デバイスの高速化、低コスト化、低消費電力化の要求から、電子部品のナノスケールへの小型化が進められている。原子スケールスイッチは、少数原子で構成される金属ワイヤーの原子配置を制御することによって、オン状態からオフ状態へと電気伝導度が変化する部品である。
Elke Scheerらは、アルミニウムワイヤーのくびれの中央に原子サイズのアルミニウム接点を形成することによって、原子スイッチを作製した。くびれの 部分に大電流を流すと、エレクトロマイグレーションという現象が起こり、原子が位置を変えるため、電流の流れやすさが変わる。Scheerらは、こうしたエレク トロマイグレーションによる原子の再配列のおかげで、伝導度が2つの値の間で再現性よく可逆的に切り替わることを明らかにした。また、原子スイッチが不揮発性メ モリーデバイスとして動作することも実証しており、原子配置に1ビットの情報を記憶できることを明らかにしている。情報の書き込みと読み出しは電流によって行われる。
doi:10.1038/nnano.2013.170
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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