Research Press Release
睡眠の間に恐怖応答を絶つ
Nature Neuroscience
2013年9月23日
恐ろしい出来事の記憶は寝ている間に特異的に減少することがあるとの研究が、今週オンライン版に掲載される。今回の発見は、睡眠の間に起こりうる学習の種類についての理解を深めるものであり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの恐怖が関係する病気に対処しようとする体の作用に関する知識をもたらす可能性がある。
Katherina Haunerらは、穏やかな電気ショックとあるにおいを関連付けるよう患者に訓練した。Haunerらは、その日の後ほどそのにおいをかぐと患者は恐怖応答を経験することを、発汗量の測定によって発見した。しかし、仮眠の間ににおいを再度、ただし電気ショックなしにかいだ場合には、寝ている間ににおいにふれた記憶が全くないのにもかかわらず、起床してからのそのにおいに対する恐怖応答は減少していた。Haunerらは、脳の恐怖応答にかかわる扁桃体でにおいが引き起こした活動パターンが、睡眠中ににおいをかぐと変化したことも報告している。
以前の研究では、睡眠中に新しい連合記憶が形成される場合があることが示されていたが、今回の研究は、睡眠の間にすでにできていた記憶が変更されうることを示している。このような恐怖応答は恐怖や不安に関係する病気に関わっているので、今回の発見は、睡眠中の曝露療法が将来の臨床研究において有望な分野であることを示唆している。
doi:10.1038/nn.3527
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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