Research Press Release
【化学】血液を使って血液凝固を防ぐ
Nature Communications
2014年2月12日
血液が固まらないようにするために設計された多成分材料について報告する論文が、今週掲載される。この材料にはグラフェンが用いられており、血液と接触する生物医学装置とチューブ(例えば、透析に用いられる装置)のためのコーティングとして利用できる可能性がある。
生物医学装置の中で血液が凝固すると、性能低下につながることがあるが、抗凝固性を有する小型分子であるニトロキシルの存在下では、そうした影響を抑制できる。ニトロキシルは、過酸化水素によるアルギニンの酸化によって生成される。アルギニンは、血液に多く含まれている物質だ。今回、Yu Huangたちは、グラフェン上に係留されたグルコースオキシダーゼ(酵素の一種)とヘミン分子からなる複合材料を用いて、血糖から過酸化水素を生成し、それを用いて、アルギニンをニトロキシルに変換できることを明らかにした。従って、この新しい複合材料があれば、それ以外の化学物質を添加せずに血液からのニトロキシルの生成を実現できるのだ。また、Huangたちは、この新規材料を塗布したプラスチックフィルムを用いた原理証明実験を行って、このフィルム上での血液の凝固が大きく減り、その効果が3日後まで持続したことを明らかにした。
doi:10.1038/ncomms4200
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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