Research Press Release
貝殻から着想を得た防具設計
Nature Materials
2014年3月31日
二枚貝軟体動物の殻の階層構造や変形特性を新しい軽量防具の設計に生かせる可能性があることが、今週のオンライン版に報告される。
今回Ling LiとChristine Ortizは、マドガイ(Placuna placenta)という二枚貝の殻に対してナノスケール押し込み試験を行い、殻の耐貫通性と変形機構を調べた。その結果、殻が変形してナノスケールの双晶(双晶境界に対して鏡面対象となる原子配置を有するカルサイトの薄い双晶結晶)を形成することによって、損傷を局所に留められることが分かった。こうした双晶の形成によって、変形が狭い領域に限定されるほか、カルサイト結晶内や結晶間におけるナノクラック発生、クラック偏向、結晶間の有機材料の伸張といった非弾性エネルギー消散事象が起こる。
理論的には、今回の研究で明らかになった変形機構を軍用や個人用の防具材料開発に応用できる可能性がある。
doi:10.1038/nmat3920
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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