Research Press Release
東アジア人の乳がんリスクに関連した遺伝子の同定
Nature Genetics
2014年7月21日
東アジア人女性の乳がん発症リスクの要因として3つの遺伝的変異が同定された。この研究結果は、これまで研究の進んでいなかった東アジア人における乳がんの遺伝学的性質に関する新たな手掛かりをもたらしている。この結果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
過去の乳がん研究は、ヨーロッパ系の女性から採取した試料を用いたものが大部分だった。今回、Qiuyin Caiたちは、乳がんの発症につながるアジア人に特異的な遺伝的変異の有無を調べ、具体的に同定することまで視野に入れた研究を東アジアの22,000人以上の乳がん患者を対象として実施した。その結果、3つの遺伝子(ARRDC3、PRC1、ZC3H11A)付近のDNA塩基配列の変異が見つかり、そのうちの2つは、他の近傍の遺伝子の発現を調節するゲノム領域に位置していた。
ARRDC3、PRC1両遺伝子の変異については、乳がんの増殖と乳がん患者の生存率の低さに関連しているという研究報告が既に発表されている。一方、ZC3H11A遺伝子が乳がんにおいて果たす役割は分かっていない。
doi:10.1038/ng.3041
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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