Research Press Release
「自己」RNAによる免疫活性化を抑制
Nature Immunology
2014年7月28日
異常な細胞RNAがあると有害な免疫応答を引き起こす恐れがあるが、その前に、酵素SKIV2Lがこれを検出して破壊するとの報告が寄せられている。この発見は、免疫細胞が生産する過剰なI型インターフェロンが関係する紅斑性狼瘡などの自己免疫疾患に大きな意味を持つ可能性がある。
Dan Stetsonたちは、酵素SKIV2Lが失われると、通常はRNAウイルス感染に対する防御として働いている、細胞のRNA検出機構の活性化が亢進することを明らかにした。また、SKIV2L欠失細胞は、変性タンパク質による細胞へのストレス(小胞体ストレスと呼ばれる)に対する感受性が高いことも分かった。このストレスは、唾液腺などに見られる高分泌性細胞に起こることが多い。Stetsonたちは、このストレスによって異常な「自己」RNAが生じ、これが同様に細胞のRNA検出機構を活性化することが、強力な免疫活性化物質であるI型インターフェロンの生産につながることを明らかにした。この応答を制止しないと、免疫疾患の発症につながる恐れがある。SKIV2Lが遺伝的に欠失した小児患者には、強いI型インターフェロン発現シグネチャー(I型インターフェロンによって誘導される遺伝子の発現上昇)が見られた。
著者たちは、シェーグレン症候群や1型糖尿病などといった特定の自己免疫疾患に、SKIV2Lが関係しているのではないかと考えている。
doi:10.1038/ni.2948
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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