Research Press Release
【量子物理】量子チェシャ猫を見つけた
Nature Communications
2014年7月30日
最近予測された「量子チェシャ猫」が初めて実験的に実証されたことを報告する論文が、今週掲載される。
量子チェシャ猫とは、粒子(例えば、光子や中性子)とその物性の1つ(例えば、偏極や磁気モーメント)が分離する現象のことだ。
チェシャ猫の場合には、その特性の1つである「笑い」が、肉体から離脱するが、量子力学でも、例えば光子の本体とその特性である偏極が分離するのではないかと考えられているのだ。
今回、長谷川祐司(はせがわ・ゆうじ)たちは、中性子の特性を調べる方法である中性子干渉法を用いて、量子チェシャ猫を実証した。つまり、中性子が干渉計の1つのアームを通過する時に磁気モーメントがもう1つのアームに沿って移動し、中性子とその磁気モーメントが分離したことを明らかにしたのだ。
また、この現象の観測には、このシステムを有意に撹乱しない程度の、中性子の特性の「弱測定」が必須であることも確認された。従来の測定法では、システムが大きく撹乱されるのだ。
量子チェシャ猫は、中性子についてのみ観測されたが、他の物理的シナリオにおいても検証可能だと考えられている。そうなれば、精度の高い測定と量子情報技術に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms5492
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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