【神経科学】好きな曲を聞くと脳にどのような影響が出るのか
Scientific Reports
2014年8月28日
ベートーベンの曲であれ、エミネムの曲であれ、好きな曲を聴いていて、情動的感情を経験し、昔のことを思い出したという話をする人は多いのだが、その理由を説明できるかもしれない。今週掲載される論文に報告されている小規模な研究で、曲のジャンルを問わず、好きな曲を聴いていると、共通の脳活動パターンが生じるという見解が示されたのだ。
音楽の好みには、それぞれの人の個性がはっきりと出る。それに、音楽は、その種類ごとにメロディーとハーモニーの特徴とリズムの複雑さが大きく異なっている。ところが、好きな曲を聴いた時、独り物思いにふけったり、思い出に浸ったり、と多くの人々が、同じような経験を語る。
今回、Jonathan Burdetteたちは、このように同じような経験をする理由を解明するために、21人の被験者にロック、ラップ、クラシックなど、さまざまなタイプの音楽を聴かせて、その際に機能する脳内ネットワークの違いを(機能的磁気共鳴画像(fMRI)データを用いて)評価した。その結果、好みの曲と関連する脳内接続パターンに一貫性のあることが明らかになった。つまり、被験者が、好みの曲(被験者の自己申告による)を聴いていると、内省に関連する脳回路で接続が増加し、脳内の聴覚領域と記憶や社会的情動の固定をつかさどる領域との接続が変化していたのだ。
今回の研究で得られた知見は、好きな曲を聴くことに関連する情動状態と認知状態の根底にある神経活動に関する手掛かりをもたらしている。
doi:10.1038/srep06130
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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