Research Press Release
【生体力学】持続可能なエネルギー生産において細菌の果たす重要な役割
Nature Communications
2014年9月3日
遺伝子組換え微生物を用いた再生可能なプロパンの生産が初めて実証された。プロパンは、液化石油ガス(LPG)の主要成分で、さまざまな用途のための世界市場が形成されている。今回の研究について報告する論文が、今週掲載される。
世界的な燃料不足によって、経済的に持続可能な代替燃料が大いに注目されている。プロパンは、水素、メタン、ブタノールなどの代替燃料よりも容易に分離、貯蔵できるため、実現性の高いバイオ燃料として提案されている。
今回、Patrik Jonesたちは、実験室で操作された大腸菌を用いて、化石燃料の一種であるプロパンを合成する経路を初めて実証した。つまり、大腸菌の脂肪酸経路を操作し、大腸菌独自の機構を利用して、持続可能な方法によるプロパン生産を実現したのだ。当初の生産量は少なかったが、Jonesたちは、必須の生化学的構成成分を同定し、これを添加することで、生合成反応を促進し、特定の大腸菌株を用いて、かなりの量のプロパンを合成できるようにした。
重要な点として、このプロパン生成経路が酸素の存在下で作動することが挙げられる。太陽エネルギーを活用し、少ない栄養素で生きていけるシアノバクテリアに、このプロパン合成系を適用する道が開かれたのだ。
doi:10.1038/ncomms5731
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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