Research Press Release
細胞のゴミ収集
Nature Immunology
2014年9月8日
免疫系が死んだ細胞を除去するのに複数の異なる方法があるとの報告が寄せられている。
ヒトの体内では、毎日何十億個もの細胞が死に、それが蓄積すると、組織の病変のきっかけになることがある。そこで、これら死んだ細胞を除去するために、細胞のゴミ収集車として働く特殊な細胞が必要となる。
Greg Lemkeたちは、これらの免疫細胞がこの作業のために、異なった細胞受容体を利用することを発見した。これらの受容体はTAM受容体チロシンキナーゼと総称され、その中のMerとAxlは、死んだ細胞の表面に取り付いたタンパク質を認識して、処理するという目印をつける。Merは、正常な条件のもとだけで働き、死んだ細胞を除去して組織の免疫寛容を維持する。これに対し、炎症の際にはAxlの生産が急激に増加し、死細胞の除去作業を引き受ける。
現在、TAM受容体を標的とする、がんや自己免疫疾患の治療法の開発が進められており、MerとAxlの機能を区別することは重要である。
doi:10.1038/ni.2986
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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