Research Press Release
ヒトゲノムの未発見部分を読む
Nature Methods
2010年4月19日
ヒト標準ゲノムは、公式な完成から10年が経過した現在も、なお埋めがたい空白が残されている。Nature Methods(電子版)に、そうしたすき間を発見してヒトの遺伝的多様性を的確に表す方法が紹介される。
ゲノムを小さな断片に分解する高処理能技術により、塩基配列が解読されるヒトゲノムの数は増え続けている。その小さな断片から染色体を組み立てるうえで、複数の個人のゲノムをもとに作られたモザイクであるヒト標準ゲノムは、ひな形として重要である。この標準ゲノムは、ヒトゲノムの90%以上を正確に表現しているが、一部の領域が未だに明らかにされておらず、医学的に意味のある遺伝情報が全く得られずにいる。
そのような領域の配列を解読するため、E Eichlerたちは、4万塩基の領域に関して、9例の個人の全ゲノムを含むクローンのセットを利用した。研究チームは、2001年に初めてヒトゲノムの概要配列をもたらしたのと同じ「ジデオキシ配列解読法」を利用して、クローン全体またはその末端部分のみの配列を得た。その配列を標準ゲノムと比較することにより、ゲノム中には新たな挿入が720か所発見された。こうした新規配列の約25%には、対象のヨーロッパ人、アジア人、およびアフリカ人の間で、大きな差が認められた。人種間の真の多様性を評価するためには、さらに多くの集団をサンプリングして分析する必要があることを、この結果は示している。
doi:10.1038/nmeth.1451
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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