Research Press Release
見るは聴くに通ず
Nature Neuroscience
2010年5月3日
脳の聴覚皮質は、静寂でも音を連想させる視覚刺激によって活性化されるとの画像化研究の報告が、Nature Neuroscience(電子版)にある。この研究は、音を暗示するだけで無音の視覚刺激によって、聴覚皮質は活性化するのみならず、その活性が音の種類、例えば動物音や楽器、物体などにより異なることを示している。
A Damasioらは、MRIスキャナーに被験者かけ、吠える犬やバイオリンを演奏する音楽家など、音を案じするが音のないビデオを見せた。スキャン画像のデータを解析したところ、ビデオを見ていた被験者から得た聴覚皮質の記録は、動物と楽器と音の出る物体とで明確に区別できることをDamasioらは発見した。
聴覚皮質は通常、音によってのみ活性化すると考えられており、この研究は、音を具体的に聞くような感覚刺激によって感覚皮質の活性がもっぱら起こるだけでなく、知覚的経験をも反映するという着想を支持する新たな証拠を提供している。
doi:10.1038/nn.2533
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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