Research Press Release
自閉症スペクトラム障害の家族内での遺伝性
Nature Medicine
2015年1月27日
自閉症スペクトラム障害(ASD)が見られる170人の全ゲノム塩基配列を解読するという包括的研究が行われた。この研究は、ASDが遺伝学的に複雑であることを強く示しており、今後ASDの遺伝的リスクの高い変異を探す際の情報源となるだろう。
ASDと関連があるとされた感受性遺伝子はこれまでに100を超えており、ASDの遺伝的原因は多様であると考えられている。今回S Schererたちは、ASDのきょうだい2人とその両親からなる4人組85例のゲノムを解読し、ASDである2人のきょうだいが同じASD関連変異を共有する割合を調べた。このようなきょうだいの大半(69.4%)は、同じASD関連変異を共有していないことが分かった。変異を共有しているきょうだいの場合は、異なる変異を持つ場合に比べて、ASDの症状の類似性が高かった。家族間、家族内での遺伝的多様性がかなり大きいとすれば、遺伝子検査で遺伝的リスクの高い変異を探す際には、ASD患者を個別に評価する必要があることを、今回の知見は示している。
doi:10.1038/nm.3792
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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