予期せぬ結果への順応を不安が妨げる
Nature Neuroscience
2015年3月3日
特定の行動について予期せぬ結果が出た場合、人はそれに対応する振る舞いを調整するものだが、不安を抱えている人はこうした学習に伴う困難が大きくなる可能性があるという報告が、今週のオンライン版に掲載される。こうしたことが困難だと、否定的な結果がさらに不安を増大させかねないような特定の状況で、意思決定を妨げる場合がある。
否定的な結果がいずれ起こる可能性に過剰に注目している不安な人は、何らかの決定をすることが大きなストレスになりかねない不確かな状況から尻込みすることが知られている。Sonia Bishopおよび共同研究者は、全般的な不安のレベルが高い(高特性不安)人は、そうでない人と比べ、予期せぬ否定的な結果にどのように順応するかの学習において違いがあるかを調べた。研究では、被験者は2つの形状から1つを選ばなければならない。形状には一定の強さの電気ショックを受ける確率が関連付けられており、時によってその関連が変化した。Bishopらは、高特性不安の被験者は低特性不安の人に比べ、形状と電気ショックの可能性や強さとの相関が予想しにくいときにショックを避けようと試みる行動を順応させる際の柔軟性が乏しいことを発見した。
研究では、被験者の瞳孔の遅延応答も測定した。過去の研究では、瞳孔の直径が青斑核-ノルアドレナリン系の活性を反映する可能性が示されている。この系は脳幹に見られ、ヒトのストレス応答に関与しているが、その機能が不安によって変えられるのかもしれない。Bishopらは、高特性不安の被験者では形状?電気ショック関連が予測しにくいほど瞳孔直径が減少すること発見した。これは、先の系の活性変化を示すといえ、以前の研究を支持するものでもある。
doi:10.1038/nn.3961
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