Research Press Release
【物理】磁気フラックス・ロープの初めての高解像度画像
Nature Communications
2015年4月29日
太陽大気中における太陽フレアを伴う磁気フラックス・ロープの時間発展と構造が高分解能で観測され、その結果の報告が、今週掲載される。フラックス・ロープは、複数のねじれた磁場が同じ軸の周りにらせん状に撚り合わされた構造のことであり、太陽から噴出する。
太陽の磁場構造にねじれが生じることは太陽爆発とコロナ質量放出に関係していると考えられている。それは、ねじれた磁場構造が不安定であり、その根底に電流が存在しているためである。これまで、こうした磁場構造の画像は解像度が低く、その時間発展と宇宙天気に悪影響を及ぼすことのある太陽爆発への関与を解明することは困難だった。
今回、Haimin Wangたちは、ビッグベア太陽観測所にある直径1.6メートルの新型望遠鏡“New Solar Telescope”に記録されたフレアを伴うねじれたフラックス・ロープの高分解能観測について報告している。当初、S字形の磁場の束が観測され、それから約2分以内に一連のループが分離し、上方に向かって成長して複数の磁場が撚り合わされたフラックス・ロープが形成され、それが太陽大気に達したところで2つのリボン状のフレアが発生したのだ。今回の研究は、フラックス・ロープをこれまで以上に詳細に明らかにし、その起源と太陽爆発との関係の解明に近づけたものといえる。
doi:10.1038/ncomms8008
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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