肥満における食欲発現の薬理学的マネジメント
Nature Reviews Endocrinology
2010年3月16日
Pharmacological management of appetite expression in obesity
肥満の人にとっては、体重の減少とそれを維持させるのは一般的に困難である。従来の医薬品開発は、食欲に影響を及ぼす心理的要因に関する成績を活用する ことには成功しておらず、代わりに、エネルギー調節のメカニズムにおける観点から食物摂取量の制限基準と体重減量に着目してきた。現在、肥満における食欲発現に有益な影響を及ぼすと考えられているいくつかの医薬品が開発途上にある。これらの医薬品として、リラグルタイドのようなグルカゴン様ペプチド-1、アミリン誘導体であるdavalinitide、5-HT2C 受容体作働薬であるlorcaserin、モノアミン再取り込み阻害薬であるtesofensin、またpramlintide とmetreleptin、bupropion とnaltrexone、phentermine とtopiramate、 bupropion とzonisamide のような数多くの配合薬があげられる。しかしながら、これらの治療薬による摂食行動に及ぼす作用については、十分な特徴付けがなされていない。肥満は、食欲刺激に対する個々の感受性や食欲の快感に由来する過剰摂取によって起こる。つまり、これらの摂食プロセスは薬物療法の有効なターゲットになると考えられる。また行動分析を行うことによって、食べることへの欲求、食べる楽しみ、食後の満足感や満腹感に対して選択的に影響を及ぼすような薬剤を見出すことができよう。これらのプロセスを特異的に調節するようにデザインされた合理的な薬剤を用いることによって、カロリー制限 による好ましくない結果を最小限にしたり、自分たちの食欲を上手くコントロールするための能力を最大限に高めたりすることができる可能性がある。
doi: 10.1038/nrendo.2010.19