Review Highlight
糖尿病合併症に関連するエピジェネティック現象
Nature Reviews Endocrinology
2010年11月2日
Epigenetic phenomena linked to diabetic complications
糖尿病の発症率は着実に増加しており、1 型および2 型糖尿病と糖尿病合併症は緊急の公衆衛生問題である。食事内容や高血糖曝露のような環境因子が糖尿病および細小血管合併症と大血管合併症の病因に関係している。これらの血管合併症は糖尿病の合併症発症率および死亡率の増加の主な原因になっている。 DCCT/EDIC およびUKPDS 疫学研究において、不良な血糖コントロールと1 型および2 型糖尿病患者における血管合併症の発症との間に相関が示された。これらの研究の結果から、早期の高血糖曝露によって糖尿病合併症が発症しやすくなることが示唆され、この現象は「メタボリックメモリー(metabolic memory) 」または「遺産効果(legacy effect)」と呼ばれた。メタボリックメモリーに関する最初のエビデンスは20 年以上前に報告され、最近、その分子メカニズムが明らかにされた。興味深いことに、一過性の高血糖曝露が、クロマチン構造および遺伝子発現の変化を起こすエピジェネティック修飾を長期に持続させ、持続的な代謝変化を引き起こす。
doi: 10.1038/nrendo.2010.188