骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート製剤の長期投与により骨の微細損傷が増加するか?
Nature Reviews Rheumatology
2008年1月1日
Does long-term bisphosphonate treatment for osteoporosis cause increased bone microdamage?
骨の微細損傷は持続的な疲労荷重の結果生じる。骨折を防ぐためには骨リモデリングによって微細損傷が修復されなければならない。閉経後骨粗鬆症に対して ビスフォスフォネート製剤の長期投与を行うと、骨代謝回転が低下するため、微細損傷の修復に悪影響を与え、結果として骨折発生率が増加する可能性がある。
Chapurlat らは、骨粗鬆症女性患者(閉経後5 年以上)50 例および死後間もない遺体12 例(対照群)の腸骨骨生検の横断研究を行った。この研究に登録された女性は全て、パミドロネート(90mg、年4 回)、アレンドロネート(連日10mg または70mg/ 週)またはリセドロネート(連日5mg または35mg/ 週)を服用しており、このうち48 例は服用歴が3 年以上であった。
ビスフォスフォネート製剤の投与を受けている骨粗鬆症女性の骨リモデリングは低下しており、activation frequency は0.06 ± 0.07/ 年( 平均±SD)、平均骨形成率は0.004μm3/μm2/ 日であった。 投与群と対照群の間で海綿骨のmicrocrack 頻度には差が認められず( それぞれ、0.13 microcracks/mm2、0.05 microcracks/mm2、P = 0.59)、green calcein 染色を行ったところ、投与群の骨サンプルの54% および対照群のサンプルの58% には、海綿骨のmicrocrack は観察されなかった。評価した骨粗鬆症女性50 例では、microcrack 密度と年齢、 microcrack 頻度と、ビスフォスフォネート製剤の投与期間、microcrack 頻度とactivation frequency との間に、相関関係は認められなかった。
著者らは、骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート製剤の長期投与は、骨リモデリングの低下にかかわらず、閉経後女性の腸骨の微細損傷の増加にはつながらないと結論づけた。
doi: 10.1038/ncprheum0662