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腱障害―基礎研究から治療まで

Nature Reviews Rheumatology

2008年2月1日

Tendinopathy—from basic science to treatment

慢性腱疾患(腱障害)は臨床現場でよくみられるが、治療は困難とされている。腱は、I 型コラーゲンやさまざまな「マイナー」コラーゲン、プロテオグリカンおよび糖蛋白で構成される、高度に組織化された細線維性マトリックスを有する。腱マトリックスは(常在)腱細胞により維持され、絶えずリモデリングが行われているが、その代謝回転率は部位によって異なる。リモデリング活性の変化は腱障害の発症と関連し、主な分子変化としてⅢ型コラーゲン、フィブロネクチン、テネイシンC(tenascin C)、アグリカン(aggrecan)、バイグリカン(biglycan)の発現増加がある。このような変化は修復に伴うものであるが、機械的荷重の変化に対する適応反応とも考えられる。反復性の微小な腱挫傷が腱障害の主な誘因と考えられてはいるが、それが腱細胞活性の変化を招く機械的刺激が強すぎる状態なのか、弱すぎる状態なのかを明らかにするにはさらなる研究が必要である。メタロプロテアーゼは腱マトリックスにおいて重要な役割を果たし、健常者、罹患者を問わず、コラーゲンおよびプロテオグリカンの分解に関与する。疼痛を伴う腱障害で発現が増加するメタロプロテアーゼには、ADAM(a disintegrin and metalloproteinase)-12 とMMP(matrix metalloproteinase)-23 がある。 これらの酵素が腱病変にどのような役割を持つかは不明であり、臨床応用可能な新しい特異的分子標的の特定にはさらなる研究を要する。

doi: 10.1038/ncprheum0700

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