Research Highlights

コラーゲン誘導関節炎に対する細胞周期阻害剤による治療の成功

Nature Reviews Neurology

2008年5月1日

Successful treatment of collagen-induced arthritis with cell-cycle inhibitors

関節リウマチ(RA)に罹患した関節では、滑膜線維芽細胞の増殖によってパンヌスが形成される。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤などの増殖抑 制薬は、細胞分裂を停止させ、パンヌス形成を抑制する可能性がある。そこでSekine らは、マウスにおいて、広域CDK 阻害剤alvocidib と新規の選択的なCDK4+CDK6 阻害剤の2 種類の小分子CDK 阻害 剤を用い、コラーゲン誘導関節炎(CIA)に対する効果を検討した。

どちらの化合物も、全身投与により明らかな免疫抑制または有害作用を引き起こすことなく、CIA を抑制した。両化合物は同等の結果を示したことから、CDK4+CDK6 がパンヌス形成に関与するこ とが示唆される。先行する抗癌剤の臨床試験では、alvocidib により悪性細胞のアポトーシスが誘導されたが、CIA においては、本剤によって滑膜線維芽細胞がG1 期で停止され、アポトーシスは誘導されな かった。これは、異なるCDK が関与しているためと考えられる。関節炎は、抗癌作用を発揮するのに必要な用量のわずか半量のalvocidib によって抑制されたことから、増殖パンヌス細胞は、腫瘍細胞と比べ てCDK 阻害剤の作用に対する感受性が高い可能性がある。新規CDK4+CDK6 阻害剤は経口投与されたが、in vivo でのクリアランスが速いためかなりの高用量を使用する必要があった。

著者らは、細胞周期阻害剤は他のRA 治療薬と異なる機序によって関節炎を抑制するため、抗リウマチ薬と細胞周期阻害剤の併用療法には相乗効果の可能性があると注目している。この治療法のさらなる 検討が期待される。

doi: 10.1038/ncprheum0779

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