Research Highlights

JAK3 阻害は2 種類の齧歯類関節炎モデルの炎症症状を低減させる

Nature Reviews Rheumatology

2008年6月1日

JAK3 inhibition reduces signs of inflammation in two rodent models of arthritis

ヤヌスキナーゼ3(JAK3;Janus Kinase 3)は、関節リウマチの病因に関与するサイトカインシグナル伝達における重要な酵素であり、CP-690550 はJAK3 を阻害する、小分子の新規免疫抑制薬である。Miliciらは、コラーゲン誘発性関節炎(CIA)およびアジュバント関節炎(AA)におけるCP-690550 の効果を評価した。

CIA を誘発した9 週齢のDBA/J1 マウスおよびAA を誘発した50 ~ 60 日齢Lewis ラットに、溶媒としてのポリエチレングリコールまたはCP-690550を注入(1.5、5、15mg/kg/日)し、それぞれ28 日間、24 日間投与を行った。また、第二の試験として、別の施設でCIA マウスに対しCP-690550 を31 日間投与し、抗TNF 抗体を投与して比較した。定期的に足の炎症症状を観察し、全試験終了時に膝関節(マウス)または足(ラット)を組織学的に評価した。

CP-690550 投与を行うと、関節炎の臨床症状が両動物モデルで用量依存性に有意に低減した。最高用量(15mg/kg)の投与では、対照群に比べて足の腫脹が90% 以上低減した。さらに、組織学的解析では、 CP-690550 投与群では、対照群に比べて炎症細胞の流入が少なく、関節破壊も少ないことが明らかになった。CP-690550 を最高用量投与されたCIA マウスの関節の組織学的所見と、正常マウスの所見との間に は差がみられなかった。

著者らは、これらの2 種類の動物モデルにおいて、CP-690550 が効果的に関節滑膜炎の症状を低減させると結論づけた。したがってJAK3 阻害は、関節リウマチの新しい治療戦略となると考えられる。

doi: 10.1038/ncprheum0782

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